2010-05-25から1日間の記事一覧

断片 5

一方で私には、詩が何か高等な技芸であってたまるか、というような思いもまた、ある。飲みながらの愚痴、便所の落書きにこそ、詩の根源があるとするべきだ。そこからゆくと、現在の詩の書き手というのは、自由な心の領分すら、何かしら外的な秩序の拘束のも…

断片 4

殊更に、詩という、たかだかひとつの文芸ジャンルを祭り上げるつもりはない。だが、そこには、われわれの「心」の問題が依然として横たわっているのである。だから私はそれに拘泥する。いかなる発展もまたいかなる歴史的悲劇も、もしそれが人の「心」の問題…

断片 3

時代は確かにニヒリズムのものである。核心にある空虚を隠蔽するための笑顔が溢れている。おそらく、諸家が指摘する通り、それはかつてニーチェが、あるいはフーコーが予め指摘したような人間の没落の時代なのだろう。わたしはニヒリズムの徒でありたいなど…

断片 2

現代詩については、学生時代にいちばんよく読んでいたと思う。最近は余り目を通すこともないのだが、それは、わたしのなかで何らかの或るものが、失われているという感覚と深く関係するように思っている。図式的に整理することはさほど困難ではない。ようす…