朱雀の、啼く

文学と、政治と。

読書遍歴

 わたしが文学作品に開眼させられたのは、小学生の時に入院先の病院のベッドのうえで読んだ夏目漱石の経験であったと思います。「坊ちゃん」。畳みかけるような文体に、子供ながら刺激的な読む楽しさを覚えていました。それから、中学生の時には、日本文学も外国文学もよく読むようになっていた。日本の作家では、芥川龍之介太宰治、現代の作家としては村上春樹村上龍山田詠美等を好んで読んでいました。三島由紀夫も読んでいた。外国の作家ならば、ゴールディングサローヤン、マキナニー、こういう作家たちが思い出されます。この時期には、何よりも詩歌のうつくしさを知ったことが大きかった。萩原朔太郎高村光太郎ランボーヴェルレーヌ高専に入学してからは、詩歌への熱冷めやらず、やはりランボーマラルメの世界に耽溺していました。同時に西脇順三郎や、ブルトンといった超現実主義の詩人たちのものもよく読んでいました。しかし、西脇をシュルレアリスムとみなすのは甚だ無理があるように現在では思えてならない。吉本隆明柄谷行人といった人々の書物に触れたのもこの時期で、浅田彰蓮實重彦の著作もよく読んでいた。小説では中上健次の著作を知った。これは大学の仏文科に進んで心酔するようになる。大学では、フローベールやゾラの読書が印象に残っています。哲学への関心が深まったが、なかでもマルクスとの出会いが大きかった。ベルクソンデリダドゥルーズなどを手にしていたが、いまでは殆ど記憶に残っていない。大学時代は、様々な出会いや別れのなかで、ひたすら沈鬱に過ごしていたかのように現在では思われる。日本の現代詩を読みはじめて、とりわけ荒地派の詩人たちに心酔していた。