精神 geist
知識の体系性という理念は、宇宙の体系性という前提によるもので、これが大学の学部編成のモデルでもあるのだろうが、勿論、体系的宇宙観に反対する立場もあり、おそらくエピクロスやマルクスのクリナメン概念の系譜もそれだろう。
ヘーゲルは自然と対立しつつ、自然が齎したいわば上位の自然として精神≒霊、ガイストを考えている。人間精神というと個人的なイメージがあるが、自然が法則に従い互いに連関しているように、精神も連関しており、共同的な存在であると見られる。あくまで自然に抵抗し、対立する所に精神がある。
こういう精神観は、いわゆるプロテスタンティズムの資本主義の精神にも繋がる。自然に対立すること、本能に対立することが、インダストリー、工業文明や近代労働を生み出している、というような。その究極が、原発という、不条理absurdな反自然的なテクノロジーであろう。