小説のジャンル的な特性をバフチンは対話性やポリフォニーの概念に見出す。韻文、詩は、基本的にモノローグ的なジャンルである。入沢康夫「わが出雲・わが鎮魂」のように、そういうジャンル的な原理に抵抗する例外もあるが。ではバフチンポリフォニー概念は、政治とどう関係するかといえば、個人と個人との関係が民主的である共同体、その理想的な姿を彼はポリフォニー概念を通して追求したのではないか。