2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

終焉の言説 (柄谷行人)

柄谷行人が、近代文学の終焉ということを云っている。 かれの言っていることは、ほぼ初期から一貫していて、近代文学の終焉について語るようになることも、初めから予定していたのではないか。そう疑いたくなる程、驚きも違和感もない現在のかれの近代文学を…

ユートピア的想像力と文芸

詩にせよ、小説にせよ、ユートピアを求める人の心と共鳴するものです。 だが、ユートピア的想像力が力を失って久しい。その背景を成しているのが、ソヴィエトと第三世界の諸社会主義の経験にあることは明白である。 ところで、肝心なのは、ユートピアもまた…

唯脳論その他への違和

まず、知性への信仰に苛立ちを感じる自分がいて、それはおそらく、学校教育のなかで、たかだか学校の勉強が器用にできない、やらない、といった所で、傷つきやすい子供の心を痛めつける。劣等感を持たせる。 そういう光景にわたしは憤慨してきたということが…

コミューン

われわれは理念なしには方向を見失う。 目的論への批判が通俗化したものが、ポストモダン以後の一般的思潮の主流を成している。 この停滞と反復には一定の歴史的な意義があるのは当然として、それでは飽き足らず前進を、発展を求める自然な欲求が出口を捜し…

中上健次

中上健次については、是非、書いておきたい。 それは、たんに小説の読書、という範疇には収めることができない圧倒的な体験であって、おそらくわたしの世界観の核を形成したのは、そのような体験であったから。 中上を読むうちに、現代詩への感性も磨かれて…

理論家たちと実践、党

高田馬場の古書店街を訪ねれば、山のように積みあげられた過去の社会科学文献を目にすることができる。 9.11と、その後の一連の出来事に接して、ポストモダンの時代に理論的言説において活躍した人々は一斉にトーンダウンし、あるいは沈黙を余儀なくされ…

帰郷ということ

秋のつめたい風がふくと、どうしてかわたしの意識には、殺風景な、神田の町並みが思い出されてしまう。 東京から帰ってきて、格別の感慨はない。 いや、と躊躇いを感じる。感慨がないというよりも、感慨を持つことを、みずから禁じているようです。 どうして…

ワファ・イドリスの場合

ワファ・イドリスは2002年に亡くなった。自爆攻撃の実行者である。 パレスチナの難民キャンプに住み、ボランティアで救急隊員をしていた。エルサレムで起こったこの自爆事件では、150人以上が負傷したとされています。 わたしは、彼女についてつたえ…

文学

気晴らしにワインを飲んでいる。 赤い国産の安酒です。 文学とは何だったのだろう。わたしは現在書かれているものの殆どに関心が向かない。 それが、よいことだとは思っていません。 中上健次とは何だったのだろう。 小野十三郎とか、谷川雁とか、荒地の面々…

民主主義と英雄

爛熟した民主主義は英雄を殺そうとする。人々は英雄を待望しながら、それが現実の力を持つに到る事態を極度に恐れている。祭り上げられた英雄は憎悪の対象となり、人々はそれを嬲り殺しにすることを欲望するに到る。 そんなことが脳裏を掠めたのは、イラクに…

ノーム・チョムスキー 虚構の和平 を読む

中東問題について学び直したくて手に取った書物です。 目下、進行中。

新しい千年のために

リービ英雄 「千々にくだけて」 (2005、講談社) 読了。 静かな作品であると思った。 主題となっているのは9.11である。七年経つ今も、わたしはそれを指して「同時多発テロ」と、口にするのを躊躇わざるをえない。 出来事を名づける際に感じられる…

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